亭 主 関 白? −1−

後藤董子

 アフリカを旅して、まことに不思議に思ったことは、畑をながめまわしてみても、日中せっせと働く人たちを、みることができなかったということです。

 広い広いアフリカ、そして、気候、風土に恵まれているために植えておけば、自然に成長し、丹精せずとも、食うには、ことかかないというわけです。

 せまい日本からくらべると、なんてうらやましいことでしょう。うらやましいといえば、日本の男性が、さぞうらやましがるだろう?という、耳寄りなお話があります。

 あちらでは、日中、若い男性が、ぶらぶら遊んで、女性は、荷役、水汲み、育児、家事と、よく働いています。

 なんて不平等であることよと、最初はわたくしも女性の立場といたしまして、憤慨した訳です。ところが、どうやら、彼らの結婚様式が、その謎を解いてくれました。

 近ごろでは、キリスト教が、よく隅々まで布教され、一夫多妻制が、少なくなりつつはありますが、まだだいぶ残っています。

 その一夫多妻が、なかなかうまく運営されています。男は、奥さんをもらうのに、牛や羊で、買うのだそうです。そして、彼らの一般的な住居である、木の枝と泥でつくった家を与えます。そうすれば、奥さんは、牛と羊を育て、畑を耕して、財産をふやしてくれます。

 男性は、こんなふうにして、6人ぐらいまで、妻を持つことができます。

 たゞし、最初、男性は、牛や羊を買う資本がいるわけですから、町に出かせぎにでて、せっせと働かなくてはなりません。

 ある男は、奥さんを買ったが、まだ月賦が終らないなどとなげいてました。

 でも、若いとき、苦労して、何人か買っておけば、死ぬまで、女房に食わしてもらえるのですから、こんな楽なことはありません。

 一人の男性が、6人も奥さんをもったら、女同志の争いが、絶えないだろうなどと心配なさらなくてもけっこうです。一人ずつ一軒の家を持たせ、平等に妻を愛さなければいけないという、タブーがあるのだそうです。

 女も、もちろん嫉妬は禁物です。こんなわけで、平和な生活がいとなまれているわけです。