めざせ! 健康百寿
『毎日が発見』
撮影:松美早瑛子  取材・文:太田カオル

若返る!!

女性だけの”山登りの会”「紫蘭会」主宰、小倉董子さんお勧め
人と、自然と、ちょっと冒険!

山歩きをすれば若返る!!

 昨年35周年を迎えた「紫蘭会」は60~70代の女性会員を中心に活躍している登山同好会。″好奇心″と″自立″をキーワードに自分らしく若々しく、山歩きを楽しんでいます。

20歳は若返る!? 女性ばかりで結成された「山登りの会」

 1975年に発足し、昨年35周年を迎えた「紫蘭会」は女性ばかりの山歩きの会。現在も50~90歳の会員約100名が在籍し、登山人生を楽しんでいます。しかもその姿は実年齢よりも20歳は若い!?と評判。そこで主宰者の小倉董子さんに若さの秘訣を伺ってみると、

 「やはり精神的なものが大きいと思いますよ。山へ行って自然に触れ、仲間と話す。それだけで心も体もリフレッシュします。あとは、ちょっとした冒険心。私はね、ワクワクする気持ちがなくなったら人間終わりだと思っているの」

 

小倉董子
おぐら・のぶこ
1932年、山形県生まれ。
ACC登山同好会「紫蘭会」会長。
「早稲田大学山岳部」初の女性部員として、
早大赤道アフリカ遠征隊に参加しキリマンジャロ登頂。
以後、世界各地を探訪。
著書に『知識ゼロからの山歩き入門』などがある。
(撮影:松美早瑛子)

 

 そもそも、連れられ登山(誰かに連れて行ってもらう登山)からの脱却を目指し発足された「紫蘭会」。
当時のお話を伺うと、

 「とにかく自立心を養わなくてはと『紫蘭会方式』というシステムを考え、導入しました。このシステムは会員全員が必ずリーダー(幹事)を経験する決まりで、それが山と人を知る最短距離と信じたからなんです。なぜならリーダーという苦労をあえて体験することで、自立心や判断力が養われる。また、他人を思いやる気持ちも自然と生まれる。想定外のことが起こる山では、知識を身につけることも大事ですが、それ以上に精神力も必要。自分の能力がどの程度なのか確認するきっかけにもなるんです」と小倉さん。

 

山小屋
小倉さんの亡き父が創設した蔵王山形山岳会の
山小屋にて。山形の酒「月山(がっさん)」のおもてなしで
山仲間との会話も弾む。このひとときが大切。

 

 また、みんなが同じ苦労をすることで結束力、チームワークが生まれ、協力し合って、楽しく山歩きができるようになるといいます。さらに、「紫蘭会のモットーは『自立したメンバーが安全に生涯楽しむ山歩き』。厳しい登山をやっているわけではないけど、根本には『運命共同体』という意識がなければうまくいかないんです」。

 さまざまな時代を乗り越え、今やっと成熟期を迎えた「紫蘭会」。自然の素晴らしさを体験し、人との関わりの中で人生を学ぶ。そして常にワクワクする気持ちが若さにつながり、すべての原動力になる。「紫蘭会」の山歩きには、生きるヒントが隠されています。

 

 

山登りをすると“若返る!?”
4つの理由を教えましょう

1 ちょっとした好奇心が心の若さを保つのです。

 自然相手の山歩きは行ってみないとわからない未知の世界。ワクワク、ドキドキする気持ちと「どうなっているんだろう」というちょっとした好奇心が若さを保つ秘訣なのです。

 

2 いくつになっても心の成長は大事。
役割をもつと自立心が養われます。

 「紫蘭会」では全員がリーダー(幹事)を経験するのが決まり。一度経験すると、人の立場に立って、相手を思いやる気持ちや、自立心や判断力がいつの間にか養われます。

 

3 人と関わることで視野も広がり、
気分もリフレッシュします。

 共通の趣味を通して、世代や考え方の違う人たちとホンネで語り合えるのが「紫蘭会」。ひとりでいるよりずっと視野が広がり心も柔軟になります。気分転換にも有効です。

 

4 山登りのための健康管理が体の若さを作り出します。

 階段の上り下りや、踏み台昇降を行うなど日々の運動で筋力、持久力を保持するのが大切。山はトイレが少ないため、日ごろから腸の調子を整える食生活を実践しています。