タオの滝

I.T

 地球温暖化とはいえ、日本の晩秋は寒い。南半球に位置するニューカレドニアは、日本とは季節が逆になり、爽やかな初夏の陽気、手つかずの自然が残る楽園。11月は一年のうちで最も多くの花が見られる季節という“旅のおさそい”に惹かれて紫蘭会海外トレッキングの参加申込みをした。

       
 
 
       
   ニューカレドニアが独立国ではなく、フランス領であることや、珊瑚礁の海だけではなく、1500〜1600m級の山々があることも知らなかった私にとって、ニューカレドニアは未知の世界であり、好奇心、冒険心がくすぐられ、いくつになってもワクワクした。とりわけ、グランドテール島北部にある「タオの滝・トレール」は荒々しさと美しさを併せもつ“秘境中の秘境の名滝”であり、渡渉もあるという。  
       
 

タオの滝遠景
 
       
   10年以上も前のことになってしまったが、夏の「幌尻岳」登山で、私は台風に遭遇した。増水した額平川を必死の思いで幌尻山荘から下ったが、“魔物”のように変身した水の恐ろしさを体験し、今でもトラウマとなっている。渡渉ときくと、その時の恐ろしさがフラッシュバックするが、苦手は道具で補うことで克服することにし、荷物は増えるが渓流シューズを持参した。
 
       

いよいよタオの滝への挑戦
 
 5日目、ヤンゲンのホテルを出発し、東海岸を北上、ニワトリの形をしたチキンロックの奇岩を眺め、ウァイエム川をバック(渡し舟)で渡って「タオの滝入口」でバスを降りた。川沿いの山道をしばらく歩くと、岩づたいに対岸に渡る最初の渡渉ポイントとなった。渓流シューズに履き替え、岩を跳んだ。途中でザックを置き、ウェストポーチとカメラのみを持って川原の滑りやすい岩と岩肌に印された矢印を頼りに川を遡り、一旦森に入った。蘭の花はないかと目をこらしたが、あいにくお目にかかることはできなかった。
 

若手4名はタオの滝直下まで
 
 再び川を渡渉し、岩場を通過し、岩を跳んで「タオの滝」の真下に着いた。幅は15m、落差は50m以上あるという4段に見える堂々とした滝である。添乗員の太田さん、現地ガイドの亀井さんのお二人の手を借り、岩をようやく跳び越えてたどりついた滝であるが、ナント、カメラが作動しない。デジカメのメモリー不足であった。ザンネン!! 滝の景観を脳裏に焼付け、もと来た道を慎重に下りた。

 息子のような年齢の、頼もしい二人の青年の手助けがあったればこそ無事歩けた、想い出深いトレッキングであった。
 

タオの滝で

 
 南洋杉