2009年紫蘭会海外トレッキング
モンゴルの旅

モンゴル感動記

F.M

 モンゴルに入って5日目、待望の乗馬の日。私たちと指導員たちが乗る馬を捕まえるシーンから始まる。スタッフの一人が馬を操って群れの中から狙いをつけた一頭を長い棒の先につけた縄で馬の頸(くび)に引っかけ捕まえる。逃げ回る馬の中から次々と捕獲。オミゴト!生で見るのは初めて、カッコイー。捕まった馬たちは「アー今日はツイテナイ。1日労働だ」みたいなアキラメ顔。

馬選び

野生の小型の馬をつかまえて…
おとなしそうな?馬を選ぶ

 私たちの前に馬が曳かれてくる。1頭目はシルバーグレーの年季を感じさせる馬。小倉先生が乗る。どちらも堂々たる風格! 2頭目は薄茶の綺麗な若馬、ひと目で気に入った。「私が……」と勇んで近寄ってヒラリと跨る―つもりだった。えっ!鐙(あぶみ)まで足が届かない! スタッフに押し上げてもらってどーにか馬の背に這いずり上がった。風景が一変する。天下取った気分(取ったことはないけど)

 全員無事騎乗、手始めに近くの水場までの歩行訓練。草原をゆっくりゆっくり進む。犬のハルカが私たち一行の後になり先になり付いてくる。私はガイドのナルちゃんに隣でもう1本の手綱(たづな)を曳いてもらっている。安心だ。

 でも私の“茶茶クン”はナルちゃんのズボンを咬んだり鼻面を擦り付けたりとずーっと彼に戯れている。
「このコ、ナルちゃんのこと好きなの?」
「イヤ、ふざけているだけ」
そーか、この“茶々”にとっては、騎乗経験のない私は、単なる荷物でしかなく、それもカールイニモツ。コラ!少しは私にも気をつかえヨッ。

 少し離れた所にいるハルカが鳥の攻撃を受けているのが目に入る。エッ、鳥の獲物には犬は大きすぎるでしょーに。
「何で襲われているの?」
「鳥の巣がある。ハルカが近づきすぎたので威嚇されている」
(フーン、TVで見たシーンと同じだ)

 小川を渡る、振り向くと今度はハルカが水鳥を追いかけている。2羽の鳥がハルカの前を必死で泳いで逃げている。
「何で飛んで逃げないの?鳥なのに」
「近くにヒナコがいるので、ハルカを遠ざけている。だからハルカの目の前を泳いで逃げている」
(へェー、あの2羽は親鳥なんだ)

スジク

スジクの泉

 ハルカがすぐ近くで地面を掘っている。
「何しているの?」
「鼠をつかまえている」
 捕まえた!アッ!食べてるッ!
「彼の食事なの?」
「イヤ、犬の食事はキャンプの残り物。狩りは遊び」
(フーン、私より優雅な暮らし)

 リズム良く進んでいると、突然遠くからけたたましい吠え声、目を上げると、ハルカが白い車を全速力で追いかけている。
「遊んでいるの?」
「ハルカにとって車は侵入者、追い払ってるんだ」
(エーッ、彼はちゃんと仕事をしているんだ。私たちを守ってくれていたんだ)

 目的地の水場でも、他のグループの犬たちとガンを飛ばしあっていた。出会うとご挨拶しあう東京の犬とは大違い。20年犬と暮らしていた私は、どーしてもハルカに目がいってしまうし、ウチの犬たちと重ねてみてしまう。
(えらいんだねぇ、遊びがてら付いてきていると思っていた。アリガトネ)

 午後は馬で登丘(?)、頂上からの眺めは360度空と草原だけ。この何もナサに大感激。

 帰り道、私の“茶々”はお隣に戯れつかなくなった。私が手綱を少し扱えるようになったからだ。(イイコ、イイコ、今すぐ君と草原を走り回りたい。“チュッ”((往け))と合図して駆け出したい。でも今はムリ、ガマンガマン。)

 キャンプに帰って一日世話になった“茶々”とお別れ。
(きっとまた来るからね、君に逢いに)

乗馬

約2時間ののんびり乗馬
スジクの泉 往復
あちこちから馬、牛、羊などが
水を飲みに来ていた
ハルカが主役(?)

   
    夜、私は少々興奮気味に言った「帰ったら乗馬習う!」

先輩たち「ヤメナサイ!落ちたらコナゴナになるヨッ、そしたらもう動けないのヨ」 (コワイ……イエ、ありがたい先輩たちデス。ハイ、気をつけて乗ります)

 この日私は何度ビックリしただろう、何度感激したろう。アドレナリンの大洪水。まるで“初めての遠足”

 キャンプにさよならしてウランバートルに帰る車中、促されてみんなの真中で質問に答えるナルちゃん。首都の人口だの、失業率だの、政府の経済政策だの…‥矢継ぎ早の容赦ない質問にナルちゃんはしばしば「……。」すかさず皆の檄が飛ぶ「固まらナイ!」

ナルちゃん

プリンセスキャンプの食堂
イケメンガイド ナルちゃんを囲んで

 この中村獅童似の若きパパは、ガイドとしてはイマイチだけど、この旅の間中、おばサマたちのアイドルだったことは確か。
 でもね、ナルちゃん。いつまでも人柄とルックスだけで勝負していないで、一日も早く戸井川さんのよーに頼もしい仕事人におなりよ。(だめだ、ホオがゆるんでニヤケてくる)

 最終日、4時起きで乗った飛行機、チョー眠いが、頭の中はトキメキプランでいっぱい。

 帰ったら、先ず乗馬クラブに予約を入れる。モンゴル料理店を探す。友達に端から電話する。―話したいこと山ほどアリ。
(モンゴルって人も馬も犬もノビノビ生きているよ。料理は意外とオイシかったァ。午前3時の夜空は、直径ン万キロの巨大プラネタリウム!お仲間と一緒の旅は楽しいよ……エトセトラエトセトラ)

 サア、イソガシク……ナ……ル。あとは幸せな爆睡。

 

 

乗馬

風に乗って乗馬体験
平均年齢75歳の勇姿(?)