回想と感動の
ニュージーランド
トレッキング
紫蘭会顧問
NZトレッキング隊長
小倉董子

 日本人として、はじめてニュージーランド(NZ)の山と氷河に挑戦したのは、1961年のことである。メンバーは、ACC山歩き教室講師、小倉、川井、五百沢を含む女五人だった。

 

 当時は資料も少なく、すべてが手さぐりで計画は進められた。その時、NZ山岳会のノーマン・ハーディー氏の助言が、どれだけ役に立ち、励ましが力となったか。そしてまた、現地では氷雪技術の指導を受け、多くの岳人たちと共に、山を楽しむことができた。それ以来、温かい人情と素晴らしい自然は、私にとって忘れがたい思い出の地として、心に残っていた。

 

 当時、山登りだけに目を向けていた私たちに「世界でいちばん楽しい散歩道」は縁遠いものだった。しかし、ミルフォード・サウンドを訪れた際、私は、その魅力にひかれ、いつかは必ず訪れたい、と思うようになっていた。

 

 ACC紫蘭会が、海外の山旅を企画するたびに、NZ行が話題になったのも、そのような私の思い入れがあったからである。1988年1月、NZトレッキングが実現することになった。かつて横浜港から貨客船に乗り込み、船旅で女5人が18日目にオークランドの港に到着したものだが、いま女25人が日本を飛び立ち、約10時間後にNZの土を踏んでいる。感無量だった。

 

 また、クライストチャーチ空港では、思いがけないハーディー氏のお出迎えまでいただき、感謝の対面だった。今回の山旅の終りに、ハーディー氏のお宅を訪問し、ハイキングを楽しむ計画をお願いし、心よくお引き受けいただいたのだが、その打ち合わせのためでもあった。責任感の強い、誠実な人柄に、あらためて感動したひとときだった。

 

 参加人数23名、平均年齢53.5歳、最高年齢71歳、講師2名、計25名のメンバーで、今回の山旅はスタートした。マウント・クック周辺では、シアリー湖上部1500メートル地点までの山歩きとタスマン氷河見物、そしてミルフォード・トラックでは快晴と名物の雨に恵まれ、ドラマチックな山歩きを楽しむことができた。

 

 何といっても全山滝になってしまうという、自然の贈り物は、感動的でもあった。とはいえ、約7時間、一人の落後者もなく歩き通したことは、自立を目標とした紫蘭会会員ならではの快挙とうれしかった。

 

 私にとっては、回想の旅でもあったが、かつて利用したモルトブラン小屋が、タスマン氷河に押し流され、すでになくなっていた。自然の驚異を目のあたりにして、27年という歳月をあらためてかみしめもした。

 旅行社の手配ミスから、一時的ではあったが、ご迷惑、ご心労をかけてしまった。また二つのグループに分かれて行動することになってしまった。6名のメンバーにおわびしたい。
 海外トレッキングをするたびに思うことだが、よき後輩として育っていることに喜びを感じている。
 充実した感動の旅を味わえ、ご協力に感謝したい。

ニュージーランド・トレッキング日程表
1988年1月17日〜1月30日

1月17日(日) 20:30 成田空港発(TE034)
1月18日(月) 10:50 オークランド国際空港着
14:10 オークランド国内線空港発(NZ521)
15:30 クライストチャーチ着
16:20 クライストチャーチ発(NM2103)
17:00 マウントクック着
17:15 マウントクック発(バス)
17:30 ハーミテージホテル着
1月19日(火) 雨のためトレッキング中止
9:00 Meeting
10:00 ニュージーランド観光ビデオ
昼食後「お誕生日会」
1月20日(水) セアリーターンズ・トレッキング
9:15 ホテル出発
12:30 昼食(マウントクックリリーの咲く岩陰にて)
15:00 ホテル帰着
(希望者はバスにてタスマン氷河へ)
22:00 夕食後Meeting
1月21日(木)

マウントクック〜テ・アナウ
10:15 ハーミテージホテル発(バス)
10:20 マウントクック着
11:30 マウントクック発(NM23)
12:10 クイーンズタウン着(乗換)
12:25 クイーンズタウン発
12:45 テ・アナウ着
13:00 テ・アナウ発(バス)
13:10 テ・アナウ ホテル着
15:00 Meeting

1月22日(金)
先発隊

ミルフォード・トラック(第1日)
11:30 Meeting
13:00 テ・アナウ発(バス)
13:25 Te Anau Downs 着
14:00 Te Anau Downs 発
(Lake Te Anauを船で渡る)
15:55 船着場着
16:05 船着場発
16:20 グレート・ハウス着
18:00 夕食
20:00 Meeting

後続隊 11:30 Meeting
午後 Te Anau 観光
1月23日(土)
先発隊
ミルフォード・トラック(第2日)
9:00 グレート・ハウス発
11:15 Black Forest
13:10 Six Mile Hut
(昼食)
14:30 Hidden Lake
15:45 Bus Stop
16:00 Pompolona着
後続隊 13:00 テ・アナウ発(バス)
13:25 Te Anau Downs 着
14:00 Te Anau Downs 発(船)
16:00 船着場着
16:15 グレート・ハウス着
1月24日(日)
先発隊
ミルフォード・トラック(第3日)
8:10 Pompolona発
9:10 Mintaro Hut
13:10 Pass Hut(昼食)
16:15 Quintin着
16:30 サザーランド滝往復
後続隊 8:45 グレート・ハウス発
12:15 Six Mile Hut
(昼食)
13:45 Hidden Lake
15:50 Pompolona着
1月25日(月)
先発隊
ミルフォード・トラック(第4日)
8:00 Quintin発
10:25 Boatshed Hut
13:05 Giant’s Gate Falls
(昼食)
14:20 Doughboy Hut
15:15 Sandfly Point着
16:10 Sandfly Point発(船)
16:25 Milford Sound着
16:30 Milford Hotel着(バス)
後続隊 8:10 Pompolona発
12:05 Pass Hut(昼食)
15:55 Quintin着
16:25 サザーランド滝往復
1月26日(火)
先発隊
ミルフォード・トラック(第5日)
9:30 Milford Sound Cruise
後続隊 8:05 Quintin発
10:35 Boatshed Hut
13:05 FNPの小屋
(昼食)
14:45 Sandfly Point着
16:00 Sandfly Point発
16:20 Milford Hotel着
1月27日(水)
先発隊

8:45 Bowen滝散策
10:35 Pembroke氷河へ(ヘリコプター)
12:20 ミルフォードホテル発(バス)
14:05 テ・アナウ着
14:20 テ・アナウ発
16:20 インバーカーギル着
16:55 インバーカーギル発(NZ532)
18:00 クライストチャーチ着

後続隊 9:30 Milford Sound Cruise
12:20 ミルフォードホテル発(バス)
14:05 テ・アナウ着
14:20 テ・アナウ発
16:20 インバーカーギル着
16:55 インバーカーギル発(NZ532)
18:00 クライストチャーチ着
1月28日(木) ハーディ氏の私邸訪問
9:00 Noah’s Hotel発(バス)
16:30 Noah’s Hotel帰着
クライストチャーチの散策
1月29日(金) 10:40 Noah’s Hotel発(バス)
11:00 クライストチャーチ(空港)着
11:30 クライストチャーチ(空港)発(NZ512)
12:50 オークランド着
13:15 オークランド発
13:45 シェラトンホテル着
(市内観光)
16:25 ホテル帰着
1月30日(土) 7:05 シェラトンホテル発
7:30 オークランド(空港)着
9:25 オークランド(空港)発(TE023)
(日本時間5:25)
15:30 成田空港着

 

What happned in MILFORD TRACK

(先)…先発隊 (後)…後続隊

 グレードハウス
「こっちのベットが空いているわよ。」と言われて上段のベットに落ち着いてみたら、「あなた達は上が好きなの?」と問われてびっくり。
何の事はない下段が空いていました。遠慮のかたまりもほどほどに。
 イールが居る居る川の中。見事なかっぷくking の風格。太さは日本のウナギの3〜4倍。でも食指が動きますか?

 

 その後、誰に歌ったのかマオリ族の恋の歌
グレードハウスから夕やみせまる山々に
こだましたコーラス…
私は子守り歌にして眠りにつきました。

 日本人と異国人の速さの違い
グレードハウスで、明るくなったら寝ておれず動きだした日本人に「静かにしてほしい」との声、のんびりしているのかと思うといつの間に出発したのか必ず前を歩いている。どうもコンパスの違いが速さの違い?

 

 NZ・オーストラリア英語事始め
Aをアイと発音します。 88セントのチョコを買う時「アイティーアイ」と言われてキョトン。 Face(顔)をファイス。通じないですよね。 ウェカ(鳥の名)をW・E・K・アイと言うからWEKIと書いたら「No アイ(A)」「?…」 WEKAと書いて「Yes.」。
頭の中は大混乱。

 

 地滑り跡の広い川原
先)しっとりと落ち着いた緑のトンネルから出てみると、両側の山の斜面からは幾すじもの滝が落ち、霞がかった谷には黄色いカッパ姿が3人、4人。
後)乾いた石ころだらけ、その爪跡を360度体を回して細く流れ落ちる滝を見る。まぶしい!!

 

 keaの食好み
パンはまずまず。果物はポイッ。チーズはムシャムシャ。
かくして「He is CUISINE」の声。
Keaの話題もうひとつ
消灯後のポンポローナ小屋。外で大さわぎのkeaに「Oh My friend!!」のいまいましい声。

 

 いたずらものの鳥ケア
その1
ランチをリュックから出しっぱなしにしていた、お2人さんに注意を言いに来てくれたニュージーランド人のFAYさん、振り返ると彼女のランチ入りビニール袋をケアがくわえて飛びあがった所だった。
その2
ポンポローナ小屋の部屋でアツアツ中のアベックさん、外においたスニーカーを3羽のケアが、かこんでつっついて遊んでいた。手をつっつかれないかとこわごわ取りかえしてあげました。

 

 ヒドゥンレイク付近
先)ようやく空が明るくなりました。苔を伝って水がシャワーの様にふりそそぐ下を大急ぎで駆け抜けた。あとを振り返り、その流れの美しさに見とれてしまいました。
後)アッとおどろく風景、外国の美女(?)たちが水着で泳いでいる。さっそくカメラを出した私達一行の中の男性1名、何枚フィルムを回したことか…。

 

 ポンポローナ小屋
「 250人の女性だけの会」と紫蘭会の説明をしたらJoanおばちゃん「Oh Terrible!」と肩をすくめました。理解しがたいのでしょうね、女性だけの団体なんて。

 

 ピアニストはマラソン選手
ポンポローナ小屋のあのピアノ。正しいリズムにするためには太ももがいたくなるほどふまなければならなかった。すっかり気に入った迷ピアニスト、美容を兼ねて我が家の窓より流れる迷演奏を思い浮かべる。

 

 子供の気持ちがわかりました
身長はまだまだ国際人になれず、洗面台と鏡はつま先立ちでつかいました。ドアのノブの位置が高く回すのに力がいりました。

 

 マッキノン峠
ガイドの富岡さん、4回目にして初めて峠からの雄大な眺めを楽しめました。昨年のクリスマスシーズンに来た時はひざまでの雪に難儀しての峠登りだったとか。2日続けて晴れるなんて我々は幸運でした。
先)快晴なれど強風。細い滝は落ちる途中で霧となって消えてしまいます。
後)のどはカラカラ、峠近くでみつけた水でのどをうるおし"ラブリー"の気分を味わう。

 

 特別メニューの夕食?
先発隊に明日は日本人が20人来るといわれてそうなったのか、クインティンの食事にライス(ごはんという感じではなく)がでた。いつもは出ないとの事。全部おにぎりにしてでもお鍋をからにしたい気持ちだったが、もうお腹の中はいっぱいだった!ごめんなさい…。

 

 クインティン遊覧飛行
先)30ドルで約15分。セスナ機によるフライト。明日も天気が良さそうだな。 後)5ドルのディスカウント。徒歩でサザーランドの滝の下まで行った人もいたが、夕食後ヘリコプターで近くを飛ぶという。行く人と聞かれると日本人はほとんど手をあげた。とたんに1人45ドルが40ドルになった。だが最後に飛んだ組は滝を見ることが出来なかった。悪天候の前兆表わる。

 

 ジャイアント・ゲート・フォールズ
岩から岩へ格好良く飛び移るつもりがハプニング。ボチャンと腰まで水の中。びっくりするやらおかしいやら。それを見ていたウータさん。後着の人、一人一人に詳しく事情説明をしています。サンドフライポイントで何人もの人が声をかけてくれました。「もう乾いた?」残念にも新品のカメラがダメになったけれど発想の転換をすれば、保険の掛け損にならなくて済んだではないですか。

先)滝の水しぶきを受けながら川原で待望のお弁当。「ちょっと水をすくって」とコップを手渡したり、巾橋をへっぴり腰で渡る人を見上げて思わずニヤニヤしたり。のんびりした昼食風景です。ちょっとしたハプニングが色を添えました。
後)名のある滝も川に変身。足元ばかり注意して足早に通りすぎてしまい引き返すこと出来ず残念。

 

 伝言ならぬ伝弁当 無事持ち主の口に入る
雨の最終日(クインティンからサンドフライポイントまで)荷物は飛行機で、手ぶらに近いスタイルで出発、お弁当をあずかったはもののすっかりはなれてしまい、昼食場所のジャイアントゲートで伝弁当を次々と頼み無事持ち主に渡り、口に入った。頼りになる諸姉であった。

 

 ダグボーイ付近
先)アア、暑い。風がほしいと思っていたところに風穴から涼しい風。しばしたたずみアア、いい気持ち。
後)ザブザブ ジャブジャブ ランランラン。

 

 サンドフライポイント
先)15:15ジャストにサンドフライポイントの標識板にタッチ。次々に握手、Vサインで記念撮影。おめでとう、ありがとう、お疲れ様。
後)変化に富んだミルフォードトラック。何はともあれ終点です。おめでとう、ありがとう、ずぶ濡れでした。

 

 サンドフライ
うわさ通り、サンドフライの襲撃には参りました。「これがいなければもっと良いのに。」「その通り。」とか会話を交していたのがなつかしい。そう云えば髪をあらったら4〜5ひきお湯の上に浮いていたっけ。今やポツポツとくわれた跡がいとおしく残っているだけです。
使いきれずに残った虫よけ薬と虫さされの薬。果して日本のブヨに効くものかどうか。皆さん山に持っていって試してみましょう。

 

 防虫ネットあれこれ
型…1、魚つりのビク風のもの
2、中心に皿のついたカッパの頭風のもの
3、帽子に内蔵されている手品風のもの
4、野球帽についたキャッチャーマスク風のもの
ウエディングベール風のものはあったかな…
色…白、くすんだ緑、濃いベージュ
感想 どうも首の所でつぼまるとスイカかカボチャにみえる。
異国人は首をかしげていた、誰も用意はしていない様だ。

 

 楽しみだった先発隊からの手紙
小さな字を大きな声で読みました。「ウナギがいるって」「よい天気だって」「シーツ置いていっていいんだって」