ピレネーへの
熱き思い
紫蘭会顧問
トレッキング隊長
小倉董子

 私の胸のうちに、十年間ほど温められていた、ピレネーへの熱い思いが、1989年紫蘭会ピレネー・トレッキングとして、実現することになった。本当に幸せの一語に尽きる。

 私のピレネーとの出会いは、1978年、日本女子地球走破隊の一員として、西欧からサハラ、東欧アドベンチャー・ドライブの時であった。フランスからスペイン入りした時、まっ白い雪に覆われたピレネーの山々が、ひときわ大きく、その意外さに、認識を新たにしたのだった。

 日本の登山家たちは、ヨーロッパ・アルプスやヒマラヤ、南米、カナダの山々には、戦前から熱い視線を向けてきたが、なぜか、ピレネーの山々へは、目を向けることがなかったようだ。

 ピレネー山脈の最高峰は、このたび、私たちも仰ぎ見ることが出来た。マラデッタ山塊のアネト峰、3404メートルである。高さに不足があったからだろうか。"山高きがゆえに貴からず"である。

 いまや、パタゴニアの地の果てまでも、日本人に会うようになったというご時世なのに…。 美しい緑と湖、そして、ロック・クライミングの可能な岩山、色とりどりの花たち、しゃくなげの群落、大自然が、そっくり残されていた。

 現地のガイド、ジョルディーとの出会い、彼の山男としての人間的な魅力とユーモアで、言葉の障害は、問題なかった。最も、川井顧問の語学力が、大いに役立ってくれたからではあったが…。

 ある時は、彼があまりにも責任感が強かったので、25人が、同一行動をとらなければならなかったため、元気組みに、不満が残ったかもしれない。だが、初日のトレッキングで、11時間という長い時間、全員無事下山出来たのも、彼の忍耐あるリーダー・シップがあったからでもあった。

 スペイン各地から訪れていた若者たちと、山や山小屋で、歌と踊りの交歓をしたことは、楽しい山旅の思い出として、心に焼き付いている。

 また、トレッキングだけでなく、山麓の中世そのままの村や教会を、奥氏の名講義付で訪れたことも、大きな収穫であった。紫蘭会ならではのチーム・ワークで、無事帰国できた。多謝!!

 

ピレネートレッキング行動記録
1989年6月28日〜7月14日

6月28日(水) イベリア航空892便(成田発20:00)にて
アンカレッジ経由カタロニアの古都バルセロナへ
<桟内泊>
6月29日(木) 6:40 バルセロナ着
朝食 ホテル CONDES DE BARCELONA
市内見学
  モンジュイックの丘
  カタルーニア美術館
  サグラダ・ファミリア聖堂
  ピカソ美術館
昼食 レストラン LOS CARACOLES
自由行動
<ホテル CONDES DE BARCELONA 泊>
6月30日(金) モンセラー修道院
黒いマリア見学
13時より少年合唱団の聖歌を聞く
昼食 HOSTAL DE CARDENAL
<ホテル ROC BLANC 泊>
7月1日(土) ピレネー・トレッキング〔1〕
5:45 アリンサル出発
アリンサル
黒い湖
ヴァイアウ峠
昼食(17:20) Refugio de Vall Ferrera
プラ・デ・ボエ
<ホテル CALDOS 泊>
7月2日(日) ピレネー・トレッキング〔2〕
タベスカン
アイネット
ルラート
昼食 ホテル CALDOS
<ホテル SAURAT 泊>
7月3日(月) ピレネー・トレッキング〔3〕
サント・マウリチオ湖
アイウェス・トルテ
昼食 Refugio de Estany
Llong
ポイ側登山口
チャペル村
<ホテル MANANTIAL 泊>
7月4日(火) ロマネスク教会見学
 @ドゥーロ サンタ・マリア教会
 Aエリイル・ラ・バーユ 12世紀初期の寺院
 Bタウル サン・クレメンテ教会
 Cサンタ・マリア教会
昼食 レストラン
<ホテル ANETO 泊>
7月5日(水) ビレネー・トレッキング〔4〕
(フランスとの国境2444m)
プラ・デ・エスターニ‥‥‥ヴェナスク峠往復
プラ・デ・エスターニ‥‥‥山小屋往復 (2140m)
昼食 Refugio la Renclusa
<ホテル ANETO 泊>
7月6日(木) ピレネーを去り アラゴン地方に入る
ハーカ大聖堂見学
昼食 レストラン(14:15)
サン・ファン・デ・ラ・ペエーニア修道院跡見学
街道筋に サン・グェッサ カテドラル
<パラドール RAY CATOLICO 泊>
7月7日(金) アラゴンから ナバーラ地方に入る
パンプローナ サン・フェルミン 牛追い祭り
ヘミングウェイ石像
ゲルニカ 樫の木
昼食 レストラン
<パラドール GIL BLAS 泊>
7月8日(土) サンティアーナ・テル・マルの
コレヒア一夕(神学校)教会見学
昼食 ポテスのホテル DEL OSO
<パラドール FUENTE DE 泊>
7月9日(日) ピコス・デ・エウローパ・トレッキング
ホルカトス・ロホ
ミラドール
アリバ
昼食 Refugio de Aliva
(ジープ & ケーブル)
アリバ
フェンテ・デ
Espinama(バス)
<パラドール FUENTE DE 泊>
7月10日(月) ナバーラから アストゥリアス地方に入る
昼食 レストラン CASA CONRADO
<ホテル LA RECONQUISTA 泊>
7月11日(火) アストゥリアスから カスティーリャ地方へ入る
国立彫刻美術館見学
昼食 レストラン LA FRAGUA
夕食 レストラン BOTIN
<ホテル PALACE 泊>
7月12日(水)

トレド カテドラル
サント・トメー教会見学
昼食 レストラン SIRENA VERDE
プラド美術館 本・別館見学
自由行動
<ホテル PALACE 泊>

7月13日(木) イベリア航空891便マドリッド発13:20 にて
アンカレッジ経由 帰国の途へ
<機内泊>
7月14日(金) 成田 16:55着  解散